在宅医療(訪問診療)についてのご案内です。
訪問診療とは?
患者さんが医療サービスを受ける形態は、おおまかに言って下記の3種類に分けられます。
- 外来 … 患者さんが病院や診療所へ赴く
- 入院 … 病院に滞在する
- 在宅 … 患者さん宅に医師が訪問する
上記の「在宅」は、さらに下記の2形態があります。
- 往診
- 定期訪問診療
一般的な在宅診療(訪問診療)とは、後者の「定期訪問診療」のことです。「往診」も、患者さんの要請があって自宅で医療を受けることを意味しますが、「定期的に往診」することは基本的に出来ません。
訪問診療を受けるための条件は?
原則として、「自宅など(居宅・施設)で療養を行っており、疾病・傷病のためにおひとりで通院することが困難な方」とされています。
しかし、現行の規定ではその患者さんの状態など特段指定されておらず、主治医の判断によります。
具体的には下記のようなケースが考えられます。
- 医療機関への通院が難しく、ご自宅(居宅・施設)での療養を強く希望される方
- 寝たきりの方、または寝たきりに準じる方
- がん等の療養をご自宅で行われる方
- 在宅酸素やカテーテルなどの医療管理が必要な方
- 付き添いが必要な認知症の方
- ご自宅で緩和ケアや終末期ケアをご希望の方
具体的にどのような流れになりますか?
定期訪問診療では、突発的な「往診」ではなく、計画的な診療を行います。
そのため、医療機関と患者さんの間で「定期的訪問診療の同意書」にご署名をいただくことから始まります。予定された訪問診療日以外にも、急に体調が変化してしまった場合には「往診」などで対応します。
患者さんのご希望にも寄りますが、状態により他施設での診断・治療が必要と判断された場合は、連携する病院・診療所をご案内し、外来受診していただくことも出来ます。訪問診療を受けながら病院主治医の外来を受診することも可能です。
訪問診療の計画は、患者さんのご希望や体調により、お一人お一人オーダーメイドで決めていきますが、月2回の訪問計画が基本となります。定期的・計画的に行う訪問診療は、
- 普段から患者さんのご様子を拝見し、考え方やご希望をより正確に知ること
- 患者さんの病状や体調が変化する前に対応すること
- 患者さんやご家族様が望むケアを出来る限り実現すること
以上が主な目的です。
急に具合が悪くなったらどうすれば?
夜間・休日など、訪問日以外の日に病状や体調が悪くなった場合に備えて、予め緊急連絡先をご案内いたします。24時間365日の電話対応・往診体制をとっております。まずはお電話ください。
お電話の内容やご希望により、電話口でのアドバイスや必要に応じて定期訪問診療以外の往診を追加いたします。
※一般の往診と同じ扱いとなり、別途医療費がかかります。
訪問診療にかかる費用はどれくらいでしょうか?
訪問診療は健康保険の適用となります。患者さんの状態や受けた医療サービスによっても異なりますが、1月あたり2回の訪問診療で、1割負担の方で約7,000円/月、3割負担の方で約20,000円/月です。これ以外に下記の医療費に関しては別途ご負担いただきます。
- 薬剤費(薬局にて別途お支払いいただきます)
- 検査代(採血検査、心電図など)
- 医療機器を使用する場合(在宅酸素など)
- 介護保険に関わるもの
(介護認定を受けている方の場合、介護保険で『居宅療養管理指導料』を算定します(1割負担の方で月額約600円))
お薬の入手方法は?
下記の方法をご選択いただけます。
- 処方箋を受け付けることができる保険薬局に処方箋をご持参いただき、直接受け取る
- お薬を配達(郵送)してもらう(別途薬局で料金がかかる場合があります)
- 薬局の薬剤師に訪問してもらう(介護保険での訪問薬剤管理指導料がかかります)
診療費の支払い方法は?
当院では訪問診療時に現金でのお受け取りは行っておりません。患家が指定する銀行口座からの引き落とし(口座振替)をお願いしております。
診療費は通常、月単位でまとめてのお支払いとなります。例えば、4月の診療費は5月中旬頃にご請求(ご連絡)となり、5月27日に指定口座から引き落としとなります。口座振替手続きが完了するまでのお支払い方法は別途ご相談ください。
これまでの主治医にもかかりたい
心配な持病をお持ちの場合、それまでかかっていた主治医の病院にも通院したいというご希望の場合、通院を継続することも出来ます。病院主治医やMSW(ソーシャルワーカー)にご相談ください。
訪問診療を申し込むには?
現在かかりつけの病院があれば、病院主治医やMSW(ソーシャルワーカー)に相談するのがスムーズです。担当のケアマネージャー(介護支援専門員)や、当院に直接ご連絡いただいても構いません。どの診療所に訪問診療をお願いして良いのかもわからず、『何をどうしてよいか、全くわからない!』という方は、「地域(包括)支援センター」に相談してみるのも良い方法です。
地域(包括)支援センター
市町村に配置されている公的システムです。高齢者支援センター・おとしより相談センターなどの名称で、高齢者ご本人やご家族、地域住民からの様々な相談を受け付けています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるように、保健師・社会福祉士、主任ケアマネージャーなどがチームを組んで支援に当たっています。総合相談では介護に関する相談や悩み以外にも、福祉や医療、その他様々な相談が出来ます。
在宅医療(訪問診療)を受けるまでの流れ
1.申込み
在宅医療(訪問診療)の申込書をご記入頂きます。お引き受けの可否を原則として3日以内にご連絡いたします。(病院の相談室経由の場合はこの部分が省略されスムーズになります)
2. 事前面談
担当スタッフがご本人・ご家族と面談させていただきます。
お申し込みの時点で医師による診察が訪問診療の適否に必要と判断される場合は、この時点で初回往診となることもあります(往診の場合は診察料や交通費がかかります)。
3. 診療計画の作成
医師が訪問診療計画を立案します。患者さんの状態によっては訪問看護などをご提案させていただく場合もあります。
4. 同意と契約
診療計画やご説明にご納得いただけましたら、各種同意書や契約書をご記入頂きます。
5. 訪問診療開始
外来での初診や初診往診を経て、定期訪問診療開始となります。